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MVNOシステムのオフショア開発

目次

MVNOシステムとは?仕組みと必要な機能

MVNOの基本と通信の流れ

MVNO(仮想移動体通信事業者)は、自社で大規模な通信設備を所有しないで携帯通信サービスを提供する事業形態を指します。具体的には、大手キャリアが保有するネットワークを借り受けて、自社ブランドのSIMやサービスを展開します。利用者はMVNOの契約を行い、通常の携帯電話と同じように音声通話やデータ通信を利用できます。

通信の流れは、利用者がスマートフォンなどからアクセスしたデータがキャリアネットワークを経由し、最終的にインターネットへ到達する仕組みです。MVNOは通信設備を直接保守しない分、サービス内容や料金プランに独自性を打ち出しやすい一方、キャリアネットワークとの連携により技術面で工夫が求められます。

システムに必要な機能と構成

MVNOがサービスを提供するためには、多岐にわたるシステム要素が必要です。契約者管理システムでは、ユーザーの個人情報や契約内容を正確に扱い、課金・請求機能と連動して料金を算定します。さらに、SIMの在庫管理や利用者のデータ通信量を計測するための運用監視システムも不可欠です。

また、利用状況の分析や顧客サポートのための問い合わせ管理システムも用意し、サービス品質を高める仕組みづくりが重要となります。これら各種システムをスムーズに連携させることで、ユーザーがストレスなく通信サービスを利用できる環境が整います。

MVNO開発が難しい理由

開発に必要なスキルと工程

MVNOシステムの開発には、通信プロトコルの知識やネットワークのアーキテクチャに関する専門知識が欠かせません。既存キャリアのインフラを借り受けるため、連携仕様を理解し、それに合わせたシステム設計が求められます。また、運用管理や課金・請求といったビジネス的な仕組みについても精通していないと、ユーザーにとって使いにくいシステムになりがちです。

さらに、要件定義→設計→開発→テスト→運用という一連の工程の中で、セキュリティや高可用性も確保しなければなりません。これらをいずれも十分に満たすためには、通信工学とソフトウェア開発の両方に強い技術者やチームが必要になります。

よくあるつまずきポイント

よくある課題としては、キャリアとMVNO間で取り交わされる通信データのフォーマット不一致や、課金システムまわりでの複雑なルール設定が挙げられます。通信品質を保つためにはリアルタイムでの監視体制が必要ですが、その実装が不十分なままだと障害発生時の原因特定に時間がかかってしまうことも。

また、ユーザーの利用動向を分析して新プランを迅速に打ち出すためのデータ分析機能が後回しになるケースもあります。開発の早い段階でモジュール設計を詰めておかないと、後から機能追加する際に大規模な改修が必要になるリスクが高まります。

MVNEとは?

MVNEの仕組み

MVNE(Mobile Virtual Network Enabler)は、すでにMNO(移動体通信事業者)との回線接続やネットワーク設備の構築を行っており、そのリソースをMVNOに卸提供する事業者を指します。自前で高額な通信設備を持つ必要がなくなるため、新たにMVNO事業を始める企業が初期投資を抑え、スピーディーにサービスをローンチできる利点があります。具体的には、パケット交換機の提供やSIMカードの発行・管理、課金・顧客管理システム(BSS)との連携など、運用面での支援をパッケージ化しているケースが多いです。

MVNOシステムの開発方法3パターン

自社開発のメリット・デメリット

自社開発を行う場合、自由度が高く、自社のサービスコンセプトに合わせた細かなカスタマイズが可能です。また、開発経験を積むことでシステム変更に柔軟に対応できる強みもあります。

一方で、専門エンジニアを確保しなければならず、採用や人材育成にコストや時間がかかります。プロジェクト管理や品質管理の責任もすべて自社にあるため、開発ノウハウの蓄積には良いのですが、初期負担は決して小さくありません。

パッケージ利用のポイント

既存のパッケージソフトを導入する場合、基本的な機能や運用ノウハウがすでに整っているのが強みです。導入までのスピードが速く、比較的安定した運用が可能になります。

ただし、パッケージの仕様に合わせて業務プロセスを調整する必要があるケースや、追加機能を実装する際に制限が生じる可能性もあります。ソフトウェアベンダーとの連携体制やサポート契約の内容をしっかりと確認することが重要です。

開発を外注するという選択肢

システム開発の専門企業に外注する選択肢もあり、社内のリソース不足を補ううえで効果的です。専門家集団が開発にあたるため、高度な技術や豊富な実績を活かしやすい一方で、要件定義や仕様のすり合わせにしっかり時間をかける必要があります。

コミュニケーションミスが発生すると、納期遅延や追加コストにつながることがあるので、開発管理体制をどのように構築するかが大きなカギとなります。

オフショア開発が選ばれる理由

コスト・スピードで有利な背景

オフショア開発では、人件費の低い国の開発拠点を活用するため、コスト面でメリットが出やすいと言われています。また、国内で人材不足が深刻化する中、海外の豊富なIT人材を活用できるため、開発スピードを上げやすい点も注目されています。

開発規模が大きくなればなるほど、このコスト削減効果が顕著になる場合があります。ただし、時差やコミュニケーション言語の違いに対する対策を怠ると、進捗管理が複雑化する可能性もあるため、事前の準備が欠かせません。

品質や言葉の不安をどう解決するか

オフショア開発では、言葉の壁や文化の違いが原因でトラブルが発生しがちです。仕様の細部が伝わらず、完成したシステムが当初の想定と異なるといった事態も考えられます。

これを防ぐためには、日本側とオフショア先の間にブリッジSE(システムエンジニア)を置いて密接なコミュニケーションを図る、仕様書や議事録を英語・現地語・日本語で整備するといった工夫が必要です。定期的なオンライン会議やテスト環境の共有によって、進捗や品質を綿密にチェックし続ける体制を作ることが成功の秘訣です。

開発パートナー選びのコツ

チェックすべき3つのポイント

技術力と実績

MVNOシステムの開発経験やネットワーク周りの知識がどれくらい蓄積されているかは、プロジェクトの成功を左右する重大な要素です。たとえば、既存のMNO(移動体通信事業者)との連携事例や、5G・eSIMなど新しい技術への対応実績が豊富かどうかを確認すると、開発会社の技術力を具体的に把握できます。また、過去に手がけたMVNO導入プロジェクトの規模や開発期間、運用後のサポート状況などを細かく聞くことで、実務レベルの信頼度を測ることが可能です。特に、課金システムや在庫管理システムを含むBSS(Business Support System)と、通信制御を行うOSS(Operation Support System)のどちらの知見もバランスよく備えているかが重要なポイントとなります。

コミュニケーション体制

要件定義で認識違いがあれば、後になって大きな手戻りが発生し、スケジュールやコストに影響が出ます。そこで、具体的にはミーティングの頻度・議題・参加メンバーが明確化されているかをチェックしましょう。オンライン会議やチャットツールなど、リアルタイムで連絡を取り合える仕組みを活用している企業は意思疎通がスムーズです。さらに、プロジェクト管理ツールを使って進捗状況やタスクの担当者をいつでも確認できるようになっているかどうかも大切です。トラブルが起きた時に責任者をすぐに特定できるプロセスが整備されていれば、リスク管理の面でも安心できます。

サポートと拡張性

ローンチ後の運用保守やシステムの拡張をどこまで対応してくれるのかは、長期的な視点で検討すべき課題です。特にMVNOの場合、ユーザー数の増加に伴い通信トラフィックが急増する可能性があるため、柔軟にサーバーリソースを拡張したり、新機能を追加したりできる体制が望まれます。また、セキュリティ強化や課金ルールの変更など、サービスを継続的に磨いていく仕組みが備わっているかどうかもチェックしましょう。万一の障害発生時に迅速に対処できるサポートデスクが設けられているか、アップデートやパッチ配布の方針が明確化されているかといった点も、安心して運用を続けるために欠かせない要素です。

比較・検討するときの注意点

複数の開発会社から提案を受ける場合、単に価格やスケジュールだけでなく、開発プロセスの透明性やトラブル発生時の対応力も比較することが重要です。見積もりの内容が不明瞭であったり、開発範囲が曖昧になっているようであれば、後々のリスクが高くなります。

また、開発会社によって得意分野やサポート範囲が異なるので、自分たちが求めている機能やスケールに合っているかどうかをしっかり見極めましょう。

まとめ

MVNOシステム開発は、通信の専門知識から課金管理、運用監視まで多岐にわたり、容易な道のりではありません。しかし、自社開発やパッケージ利用、外注、そしてオフショアといった選択肢を比較検討することで、自社のリソースや目的に最適な手段を導き出すことが可能です。

開発パートナーを選ぶ際は、技術力やコミュニケーション体制、将来の拡張性など、複数の要素を総合的に判断しましょう。的確なパートナーシップを築ければ、柔軟で魅力的なMVNOサービスを提供できるようになり、ユーザーにとって利便性の高い通信環境を実現できるはずです。

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