ベトナムは、オフショア開発の委託先として長年トップクラスの人気を誇っています。しかし、その市場は常に変化しており、「昔の常識」のままでは最適なパートナーシップを築くことはできません。
この記事では、2024年〜2025年の最新データに基づき、ベトナムのオフショア開発の「現状」を徹底解説します。市場の動向から具体的な課題、そして今後の展望までを網羅し、企業が今取るべきアクションを明らかにしますので、ぜひ参考にしてください。
まず、現在のオフショア開発市場全体におけるベトナムの立ち位置と、最新のトレンドについて見ていきましょう。
ベトナムは、現在も日本企業にとって最も人気のあるオフショア開発国です。「オフショア開発白書(2024年版)」によると、委託先としてベトナムを選ぶ企業は依然としてトップシェアを維持しています。単なるコスト削減先としてだけでなく、事業成長を支える戦略的パートナーとしての地位を確立しています。
近年の動向として、単にWebサイトやアプリを作るだけでなく、企業の基幹システムやDX(デジタルトランスフォーメーション)、AI、ブロックチェーンといった、より高度で複雑な開発案件が増加しています。これは、ベトナムの技術力が向上し、単純な労働集約型の開発から高付加価値な開発へとシフトしていることの表れです。
現在のベトナムの開発会社は、非常に幅広いサービスを提供しています。
数ある国の中で、なぜベトナムはこれほどまでに選ばれ続けるのでしょうか。その理由を改めて整理します。
ベトナムでは、国策としてIT教育に力を入れており、毎年5万人以上のIT系人材が輩出されています。若く学習意欲の高いエンジニアが豊富で、新しい技術へのキャッチアップが早いため、最新の技術トレンドにも対応しやすいのが大きな強みです。
人件費は年々上昇傾向にありますが、それでも日本国内やインド、中国といった国々と比較すれば、依然として大きなコストメリットがあります。単に安いだけでなく、その価格で得られる技術力や品質とのバランスが非常に優れている点が、ベトナムのコストパフォーマンスが評価される理由です。
勤勉で真面目な国民性や、チームワークを重んじる姿勢など、ベトナムの文化は日本と近い部分が多くあります。また、親日国であることに加え、日本語教育も盛んです。時差もわずか2時間と、円滑なコミュニケーションを取りやすい環境が整っていることも、日本企業にとって大きな魅力となっています。
多くのメリットがある一方で、近年の市場変化に伴う課題やリスクも顕在化しています。
ベトナム経済の成長に伴い、エンジニアの人件費は年5%〜10%のペースで上昇しています。特に、経験豊富なシニアエンジニアやPMクラスの人材は、国内外の企業による獲得競争が激化しており、優秀な人材を確保するためのコストは以前よりも確実に上がっています。
技術力は高い一方で、プロジェクト管理や上流工程(要件定義など)の進め方において、日本企業が期待する水準との間にギャップが生じることがあります。「言わなくても伝わる」という日本の文化は通用しないため、曖昧な指示は品質の低下や手戻りの原因になりがちです。
ベトナムは政治的に安定している国ですが、海外での開発である以上、地政学的なリスクはゼロではありません。また、より現実的なリスクとして、為替の変動(円安)があります。契約時の想定よりも円安が進むと、日本円での支払いコストが膨らんでしまう可能性があるため注意が必要です。
周辺のアジア諸国と比較して、ベトナムの強みと弱みはどこにあるのでしょうか。
国 | 強み | 弱み・懸念点 |
---|---|---|
ベトナム | ・コストと品質のバランスが良い ・日本語対応力が高い ・勤勉で日本文化との親和性が高い |
・人件費が上昇傾向にある ・PMクラスの人材が不足気味 |
フィリピン | ・高い英語力 ・欧米文化への理解度が高い ・Web系開発に強い |
・インフラがやや不安定 ・技術の幅はベトナムに及ばない場合も |
インド | ・圧倒的な人材数と高い技術力 ・大規模・複雑な案件に対応可能 ・英語が堪能 |
・人件費が高騰している ・文化や商習慣の違いが大きい |
インドネシア | ・巨大な人口(潜在的な人材数) ・今後の成長ポテンシャルが高い |
・オフショア市場がまだ未成熟 ・言語の壁、インフラの課題 |
結論として、「コスト・品質・コミュニケーション」の3つのバランスを重視するなら、依然としてベトナムが最適な選択肢となるケースが多いでしょう。英語でのコミュニケーションに特化するならフィリピン、最先端かつ大規模な開発を求めるならインド、といったように、自社の目的やプロジェクトの特性に合わせて委託先を検討することが重要です。
最後に、これからのベトナム市場と、オフショア開発を成功させるために企業が準備すべきことについて解説します。
今後、ベトナム市場はさらなる成長が見込まれます。特に、国を挙げて推進しているDX(デジタルトランスフォーメーション)とAI関連の領域は、最も成長が期待される注目分野です。これらの分野で強みを持つ開発会社とパートナーを組むことができれば、大きな事業成長のチャンスを掴めるでしょう。
これからの時代にベトナムでのオフショア開発を成功させるには、以下の準備が不可欠です。
ベトナムのオフショア開発市場は、単なるコスト削減の場から、企業のDXやイノベーションを支える戦略的パートナーへと進化しています。人件費の上昇や人材獲得競争といった課題はあるものの、その高いポテンシャルと日本企業との親和性は、依然として他の国にはない大きな魅力です。
市場の「現状」を正しく理解し、委託する企業側が目的を明確にして主体的に関わることで、ベトナムとのオフショア開発は今後ますます大きな成功を生み出すでしょう。
ベトナムのオフショア開発で、案件の分野別に確かな実績(※1)を持つ企業を紹介。
異なる開発ニーズに応じて、どのような専門性があるのかぜひご覧ください。
長年の開発実績の中でも、強固なセキュリティおよび緻密なプロジェクト管理や高い品質が求められる金融・通信業界から評価を得ている(※2)ひけしや。
日本発企業でもあり、現地常駐日本人スタッフのサポートによって、オフショア開発でありがちな品質管理ポリシーのギャップを生みません。業界特有の厳しい品質基準をクリアできる体制が整っています。
プロジェクト数:約1,000件
開発経験:20年
200名を超えるクラウドエンジニアの在籍、AWSの認定パートナー(※3)であるなどクラウド移行に関して実力が光るCMC JAPAN。オンプレからでも、クラウド同士の統合でも柔軟にカスタマイズが可能です。
官公庁で使われているレガシーシステムもスムーズにシステム移行をすることができます。
プロジェクト数:-
開発経験:30年以上
エンジニアの平均月単価が40万円(税不明)のベトナム(※4)で17.5万円~アサインが可能なオルグローラボ。最短即日のアサイン(※5)も可能で、迅速な開発体制構築とコスト競争力を提供します。
インタラクティブな要素が必要とされるゲーム開発も行っており、デザイン面とユーザーエクスペリエンスが両立されたアプリ開発を行います。
プロジェクト数:2,000件以上
開発経験:10年
※1 公式HPに記載されている情報から「案件数」「事業年数」いずれかが豊富であるとわかる企業
※2 参照元:ひけしや公式(https://hikesiya.co.jp/solution/labo)(https://hikesiya.co.jp/timeandmaterial)2024年8月6日時点
※3 参照元:CMC Japan公式(https://cmc-japan.co.jp/blog/why-migrate-to-the-cloud/)2024年8月6日時点
※4 参照元:オフショア開発.com『オフショア開発白書2023』(https://www.offshore-kaihatsu.com/contents/vietnam/price.php)
※5 参照元:オルグローラボ公式(https://allgrow-labo.jp/lp/)2024年8月6日時点