オフショア開発を検討する上で、最も気になるのが「費用」ではないでしょうか。「国内より安いと聞くけれど、実際いくらかかるの?」「見積もり以外に追加費用は発生しない?」そんな疑問や不安を抱えている方も多いはずです。この記事では、オフショア開発にかかる費用の基本構造から、地域ごとの料金相場、見落としがちなコストの落とし穴、そしてコストと品質を両立させるための秘訣まで、専門家の視点から分かりやすく徹底解説します。
オフショア開発の費用を正しく理解するためには、まずそのコストがどのような要素で構成されているのかを知ることが大切です。単純な人件費だけでなく、さまざまな費用項目が積み重なって全体の開発コストが形成されます。
オフショア開発の費用は、主に以下の項目から構成されます。
これらの項目が、開発期間やプロジェクトの規模、複雑性に応じて変動し、総費用が算出されます。見積もりを取得する際には、これらの内訳がどの程度明確に示されているかも確認ポイントの一つです。
オフショア開発の大きな魅力であるコストメリットは、委託先の国・地域によって大きく異なります。一般的に、アジア諸国は欧米諸国に比べて人月単価(エンジニア1人が1ヶ月稼働した場合の費用)が低い傾向にあります。以下は、主要なオフショア開発国の一般的な人月単価の目安です(あくまで目安であり、為替レートやスキルレベル、都市によって変動します)。
| 国・地域 | PG(プログラマー)クラス | SE(システムエンジニア)クラス | PM(プロジェクトマネージャー)クラス | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ベトナム | 25万円~45万円 | 35万円~60万円 | 50万円~80万円 | 親日的、勤勉、日本語対応可能な人材も増加中 |
| フィリピン | 25万円~40万円 | 30万円~55万円 | 45万円~70万円 | 英語力高い、ホスピタリティ精神 |
| インド | 30万円~50万円 | 40万円~70万円 | 60万円~100万円 | IT大国、技術力高い、時差活用可能 |
| 中国 | 35万円~60万円 | 45万円~80万円 | 70万円~120万円 | 技術力高い、大規模開発対応可能だが近年コスト上昇 |
| 東欧諸国(例:ポーランド、ルーマニア) | 40万円~70万円 | 50万円~90万円 | 70万円~130万円 | EU圏、高い技術力、時差比較的少ない |
単価の安さだけで選ぶのではなく、その国の技術レベル、得意分野、コミュニケーションの取りやすさ、カントリーリスクなども総合的に考慮することが重要です。
では、実際に国内開発と比較して、オフショア開発はどれくらい費用を抑えられるのでしょうか。簡単なモデルケースで比較してみましょう。
【モデルケース】小規模な業務効率化Webアプリケーション開発
国内開発の場合(東京の一般的な開発会社を想定):
オフショア開発の場合(ベトナムの一般的な開発会社を想定):
このシミュレーションでは、オフショア開発の方が約225万円(約37.5%)コストを抑えられる結果となりました。もちろん、これは単純計算であり、実際にはプロジェクト管理費や諸経費、品質管理のための追加コストなども考慮する必要があります。しかし、大きなコストメリットが期待できることはお分かりいただけるでしょう。
オフショア開発はコストメリットが大きい一方で、予期せぬ追加費用が発生する「隠れコスト」のリスクも潜んでいます。これらを事前に把握し、対策を講じることが、予算オーバーを防ぐために不可欠です。
オフショア開発で追加費用が発生しやすいのは、主に以下のようなケースです。
コストに関するトラブルを未然に防ぐためには、契約書の内容を細部まで確認することが極めて重要です。特に以下の条項には注意しましょう。
契約内容は専門家(弁護士など)にも確認してもらうことをお勧めします。
オフショア開発では、国内開発にはない外部要因によるコスト変動リスクも考慮する必要があります。
これらのリスクを完全に排除することは難しいですが、事前に情報を収集し、可能な範囲で対策を講じることが重要です。
オフショア開発の目的は単なるコスト削減だけではありません。コストを抑えつつも、期待する品質の成果物を得ること、つまりコストパフォーマンスを最大化することが成功の鍵です。「安かろう悪かろう」では、結局修正コストがかさみ、ビジネスチャンスを逃すことにもなりかねません。
コストと品質のバランスを取るためには、まず発注側の社内体制を整えることが不可欠です。
オフショア開発で品質を確保するためには、積極的な品質管理への関与と、円滑なコミュニケーションが欠かせません。
品質は作り込まれるものであり、後から検査で保証されるものではありません。開発の初期段階から品質を意識したプロセスを構築することが重要です。
オフショア開発の導入を最終判断する前に、自社の状況と照らし合わせて費用感や準備状況を再確認しましょう。
開発会社からより正確な見積もりを得るためには、以下の情報をできる限り具体的に伝えることが重要です。
情報が具体的であるほど、見積もりの精度は高まり、後々のトラブルを減らすことにつながります。
オフショア開発を導入するかどうかの最終判断は、単純な開発コストだけでなく、以下のポイントも考慮して総合的に行いましょう。
これらの要素を自社の優先順位に照らし合わせて評価することが、後悔しない選択につながります。
オフショア開発は、適切に活用すれば大きなコストメリットとビジネスチャンスをもたらす強力な手段です。しかし、その費用構造は複雑であり、見落としがちな「隠れコスト」も存在します。成功のためには、費用の内訳を正しく理解し、リスクを予見し、そして品質とのバランスを常に意識することが不可欠です。
本記事で解説したポイントを踏まえ、事前の情報収集と準備を徹底し、信頼できるパートナーを選定することで、予算内で期待通りの成果を上げるオフショア開発を実現してください。賢いコスト管理が、オフショア開発プロジェクトを成功へと導く第一歩となるでしょう。
ベトナムのオフショア開発で、案件の分野別に確かな実績(※1)を持つ企業を紹介。
異なる開発ニーズに応じて、どのような専門性があるのかぜひご覧ください。
長年の開発実績の中でも、強固なセキュリティおよび緻密なプロジェクト管理や高い品質が求められる金融・通信業界から評価を得ている(※2)ひけしや。
日本発企業でもあり、現地常駐日本人スタッフのサポートによって、オフショア開発でありがちな品質管理ポリシーのギャップを生みません。業界特有の厳しい品質基準をクリアできる体制が整っています。
プロジェクト数:約1,000件
開発経験:20年
200名を超えるクラウドエンジニアの在籍、AWSの認定パートナー(※3)であるなどクラウド移行に関して実力が光るCMC JAPAN。オンプレからでも、クラウド同士の統合でも柔軟にカスタマイズが可能です。
官公庁で使われているレガシーシステムもスムーズにシステム移行をすることができます。
プロジェクト数:-
開発経験:30年以上
エンジニアの平均月単価が40万円(税不明)のベトナム(※4)で17.5万円~アサインが可能なオルグローラボ。最短即日のアサイン(※5)も可能で、迅速な開発体制構築とコスト競争力を提供します。
インタラクティブな要素が必要とされるゲーム開発も行っており、デザイン面とユーザーエクスペリエンスが両立されたアプリ開発を行います。
プロジェクト数:2,000件以上
開発経験:10年
※1 公式HPに記載されている情報から「案件数」「事業年数」いずれかが豊富であるとわかる企業
※2 参照元:ひけしや公式(https://hikesiya.co.jp/solution/labo)(https://hikesiya.co.jp/timeandmaterial)2024年8月6日時点
※3 参照元:CMC Japan公式(https://cmc-japan.co.jp/blog/why-migrate-to-the-cloud/)2024年8月6日時点
※4 参照元:オフショア開発.com『オフショア開発白書2023』(https://www.offshore-kaihatsu.com/contents/vietnam/price.php)
※5 参照元:オルグローラボ公式(https://allgrow-labo.jp/lp/)2024年8月6日時点